はじめに
移動平均線は、FXであれ株であれ、最初に使うインジケーターではないでしょうか。チャートを使ったトレードを学ぶ教則本にもほぼ記載されているでしょう。この原稿では、そんな移動平均線の中でも3本の指数平滑移動平均線(EMA)を使ったデイトレード手法とチャートの読み方について解説します。主としてトレードを始めて数ヶ月の方を対象にしています。
本原稿のチャートは15分足です。EMAの期間は下記の通りです。
赤:200、紫:75、緑24
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パーフェクトオーダーはトレードしやすい
上のチャートは下降トレンドから持ち合いになり、上昇トレンドへと変化し、また下降しているプライスを示しています。最初に短期足が中期を上抜き、次に長期を上抜いています。そして中期が長期を上抜き、3本のEMAが全て、上向きの角度になっています。
3本が同じ方向を向き、尚かつ上から短期、中期、長期の順番にEMAが並ぶフォーメーションをパーフェクトオーダーと呼び、トレードのセットセットアップが出来上がっている状態です。
パーフェクトオーダー時のトレード方法
この際のエントリーは上のチャートなら2つあります。ローソク足が25EMAを一旦下に抜けて再び上に抜けて確定した足でロングする方法。この時の損切りは、中期足の下抜け、もしくは直近安値をローソク足が抜けてしまったポイントです。
もうひとつは中期足にタッチして反転を確認後エントリーする方法です。デイトレードでは25EMAにローソク足が乗った時でもいいですし、75EMAでヒゲが出て、次の足がヒゲの足の実体を下に抜けないところで確定した時にエントリーするのもいいでしょう。このときの損切りは、上と同様に中期足の下抜け、もしくは直近安値をローソク足が抜けてしまったポイントです。
過去の移動平均線を見てサポートやレジスタンスを予測する
移動平均線は現時点を見るだけでなく、過去のチャートでどのような動きをしていたのか見ることで、抵抗帯を予測できます。トレンドの発生の確証を得るヒントにもなります。
上のチャートは下降から上昇に変化しています。Aの部分を見てください。ローソク足の高値がEMA長期足に押さえられて急落しています。これはこのポイントに大きなショートが入った、もしくは、それより手前でロングの損切りが入ったと考えられます。
そのまま左にラインを引くと、aのポイントになります。aでも頭が押さえられて一旦押し目をつけています。Bのポイントも同様です。bのところで押し目が入っています。
トレンドが転換する場面では急騰、急落がありなかなかイグジットもエントリーも難しいのですが、こうした現象が起こることも想定してトレードすると、早めの利確や逃げができます。
200EMAを基準でN字転換を狙ったトレード
3本の移動平均線を使ったトレードの基準はパーフェクトオーダーです。しかし、エントリーする際に短期を基準にするのか、中期を基準にするのか長期にするのか迷います。
これは、自分のトレードスタイルで考えればいいのです。
例えば、数ピップスから10ピップス程度狙うなら短期EMA、20ピップス以上狙いたいなら中期EMA、そして50ピップス以上できれば100ピップス狙いなら長期EMAと、それぞれに戦略を立てればいいのです。
上のチャートは四角の中がほぼパーフェクトオーダーになっています。チャートが出来上がった後の後付けで恐縮ですが、このチャートの中ではAのポイントが長期EMAで反転していることがわかります。200EMA付近からのエントリーを基準に考えてトレードするなら十分に狙えるプライスです。
N波動でイグジットも想定する
上のパーフェクトオーダーのチャートではいくつかのエントリーポイントがあります。先ほど書いたように、その中でもっともピップスがとれるのがAのポイントです。Aの1つ前の押し目をみてください。パーフェクトオーダーになり、短期EMAに近づく最初の押し目です。このプライスあたりをエントリー目安と想定しつつ、200EMAとの近接を考えてエントリーします。実際にはサポートになるブルー矢印のラインまで落ちていませんが、エントリーポイントの候補としては十分です。
このような状態を見つけたら、次も200EMAでサポートされる可能性があると考え、200EMA付近にローソク足がきたらエントリーできるポイントを探します。
深い押し目ですので直近の高値を超えれば、N波動になることを考慮してイグジット(利確)ポイントを想定します。このケースですと丁度高値のヒゲあたりになります。
うまく200EMAとの交差付近でエントリーできるとベストトレードになるのではないでしょうか。
トレードが難しい移動平均線のケース
移動平均線は、トレードがしやすい状況だけでなく、ドレードがしにくい状況も示してくれます。それは移動平均線の傾きがなくなり平行になるときです。特に2本以上の移動平均線が重なると様子見した方が無難といえます。
ダイヤモンドフォーメーションには注意が必要
上のチャートは拡散から収束へ移行するチャートでダイヤモンドフォーメーションの一種にもなっています。こういうチャートの時は、ロングをしてもショートをしてもうまくいかないケースが少なくありません。
移動平均線の傾きでトレンドラインを引く方法
移動平均線を使ってトレンドラインを引く方法があります。これは長期EMAの傾きでトレンドラインを引く方法と、中期EMAや短期EMAの山や谷を結んでトレンドラインを引くの方法です。
上のチャートでは中期EMAを使ってトレンドラインを引きます。赤丸のところが谷になっています。この谷と谷をトレンドラインで結びます。
トレンドラインが引けたら、安値のところまで並行移動し、そのコピーしたラインを次の高値のところまで同じように並行移動します。これで、値幅に沿ったラインが引けます。値幅を使ったトレードに関しては、以下の記事を参照してください。
移動平均線の反発を狙ったトレード
移動平均線で反発を繰り返す波は結構頻繁におこります。実際には移動平均線付近といった方がいいでしょう。
上のチャートは長期EMAできれいに反発しているように見えます。確かに長期EMAは割り込んでいませんが、その付近で何度も上下に波打っています。上手く入れたと思っても、急落することもあるので2回、もしくは3回目に近づいたときにエントリーした方が精神的に楽でしょう。
もっともスキャルピングで上下の目星をつけて細かく刻む方法もありです。
ゴールデンクロス(デッドクロス)とピラミッティング
ゴールデンクロスにしてもデッドクロスにしても重要なのはローソク足との位置関係です。どちらもエリオット波動の第3波も考慮して狙うことを基準にすれば、大きく負けることは少なくなると考えています。
上のチャートは短期EMAが中期EMAを下抜きしているデッドクロスの状況の時に戻り高値になっています。ここがエントリーポイントになります。
ピラミッティングによるロットの積み増し
トレードでは、チャートの状況に応じて、ロットを積み増しすることがあります。ピラミッティングと呼ばれる手法で、15分足程度のデイトレードでも可能です。
上のチャートでは、最初にAの位置でショートを入れます。このときは短期EMAを下回っただけなので、ロットは少なめとします。10ロットを1回のトレードとするなら2ロットくらいです。
次にロットをいれるのがBの位置です。短期EMAが下に傾いていますので、先ほどよりロットを増やして4ロット〜6ロット程度を入れます。
そして最後にCの位置で2ロット〜4ロット程度をエントリーします。Cの位置が2つ目のネックラインを割り込んでいるので、もっとも下がりやすい位置だと考えられるので、ここをメインのロット数の位置にするのも方法です。
ボックスと移動平均線を組み合わせたブレイク手法
移動平均線が水平になったところで直近の高値安値でボックスを作成して、ローソク足ではなく、移動平均線がボックスをブレイクしたらエントリーする方法があります。一般的なボックスブレイクはローソク足で考えますが、この方法は移動平均線で判断します。
上のチャートでは移動平均線が平行から上向き代わり、矢印のところあたりで一回、上方向にブレイクします。しかし、売り圧力がかかって一旦、下がります。チャートの動きは基本的に上下運動の波を形成するの、ブレイクしたからといって、それに飛び乗るのは禁物です。しっかりと下支えを確認してからエントリーするのが望ましいと言えます。
ボックスブレイクは、十分に抜けきってからエントリーするのが無難です。なぜならブレイクはひとつ上のプレイスへ移行することであり、そこから加速を強めることがとても多いからです。
言い換えると、ブレイクを確認したトレーダーがそこから多くなることでもあります。参加者が徐々に増えるとチャートは大きな動きをみせることになります。
このケースでは、先ほど説明したピラミッティングの実行にも有効です。例えば、1回目のエントリーは、1段目の下限で最初のエントリーを行います。2回目のエントリーは、ブレイクが確定して短期EMAの上にローソク足が乗ったときです。3回目のエントリーは、2段目のボックスブレイク付近で移動平均線にローソク足が乗った時とします。
おわりに
今回は、移動平均線のさまざまな使い方を8つの視点から解説しました。移動平均線のトレード手法はゴールデンクロスやデッドクロスだけでなく、いくつもの使い方があるのを理解していただけたのではないでしょうか。
ここに紹介した手法は絶対勝てるものではありません。それは、どのような手法にもいえることです。トレードは修練を重ねて上達するものです。そのことはしっかりと考えに落とし込んでください。