本記事では、FXトレードの移動平均線 (Moving Average) の概要や移動平均線を使った基本的なトレード戦略を説明します。移動平均線はFXなどの金融商品の価格データを一定期間分平均することで得られる動きを表しています。FXのトレンド把握やエントリー、手仕舞いのために用いられます。
移動平均線とは
移動平均線 (Moving Average) とは、金融商品の価格データを一定期間分平均することで得られるグラフを指します。このチャートはFXのトレンドを把握するために用いられます。
移動平均線の代表的な戦略では短期と長期の2つの種類を使います。
短期の移動平均線は近い期間の価格データをもとに計算され、長期の移動平均線は遠い期間の価格データをもとに計算されます。
この2つの移動平均線をチャートに表したものを比較することで、トレンドの変化や反転などを把握することができます。
エントリーや手仕舞いでは2本以上使用するケースもあります。
移動平均線を使ったトレード手順とは
移動平均線を使ったトレード方法は以下の通りです:
- 移動平均線の選択:トレードに利用する移動平均線を選択します。
- 移動平均線の表示:移動平均値をチャートに表示して準備します。
- トレンドの把握:価格が移動平均線を上向きに突き抜けた場合は、上昇トレンド、下降トレンドと判断します。
- 売買タイミングの決定:価格が移動平均線をクロスしたとき、または移動平均線との距離が広がったときに売買を検討します。
- リスクマネジメント:トレードにおいてはリスクマネジメントが重要です。エントリーとエグジットのタイミングを検討するとともに、損失確定のためのストップロスを設定することも重要です。
この方法はあくまで一例であり、市場状況や投資目的に応じて調整する必要があります。また、他のテクニカルインジケーターやファンダメンタルアナリシスと組み合わせて使うことも推奨されます。
主な移動平均線の種類
移動平均線にはいくつかの種類があります。主なものは以下の通りです。
- 単純移動平均線 (Simple Moving Average, SMA) : 過去 n 日間の価格データの平均値を表す移動平均線です。
- 加重移動平均線 (Weighted Moving Average, WMA) : 最近の価格データにより大きな影響を与える加重平均値を表す移動平均線です。
- 指数平滑移動平均線 (Exponential Moving Average, EMA) : 最近の価格データにより大きな影響を与える指数関数を用いて計算する移動平均線です。
- ボリンジャーバンド (Bollinger Bands) : 移動平均線を中心とした上下の2本の線からなるグラフで、株価のボラティリティーを測定するのに用いられます。
これらはすべて、株式や通貨などの金融商品の価格データを分析するためのツールであり、トレードにおいて決定的な役割を果たすこともあります。
単純移動平均線 (Simple Moving Average, SMA)
単純移動平均線 (Simple Moving Average, SMA) は、過去 n 日間の価格データの平均値を表す移動平均線です。SMAは移動平均線の中でも最も基本的なもので、以下の式で計算されます:
SMA = (Price_1 + Price_2 + … + Price_n) / n
ここで、Price_i は日付 i の価格、n は期間数を表します。
SMA を使うことで、株価などの価格データに対するトレンドを把握することができます。特に、短期の移動平均線と長期の移動平均線を比較することで、価格データのトレンドの変化や反転などを見つけることができます。
SMA を使ったトレードには、次のような戦略があります:
- ゴールデンクロス (Golden Cross) : 短期の移動平均線が長期の移動平均線を上に抜いたとき、株価の上昇トレンドが確認されると考えられます。このとき、買いポジションを取るのが有効な戦略です。
- デッドクロス (Dead Cross) : 長期の移動平均線が短期の移動平均線を上に抜いたとき、FXの下落トレンドが確認されると考えられます。このとき、売りポジションを取るのが有効な戦略です。
加重移動平均線 (Weighted Moving Average, WMA)
加重移動平均線 (Weighted Moving Average, WMA) は、単純移動平均線 (Simple Moving Average, SMA) の改良版です。WMA では、過去 n 日間の価格データに対して、近い日付ほど重みが大きくなるように加重平均をとることができます。このため、WMA は、最新の価格データに対してより高い重みが付けられます。
WMA の計算式は以下の通りです:
WMA = (n * Price_n + (n – 1) * Price_{n-1} + … + 2 * Price_2 + Price_1) / (n * (n + 1) / 2)
ここで、Price_i は日付 i の価格、n は期間数を表します。
WMA を使ったトレードでは、単純移動平均線 (SMA) と同様に、FXなどの価格データに対するトレンドを把握することができます。WMA は、SMA と比較してより素早くトレンドの変化を検知することができる場合があります。
指数平滑移動平均線 (Exponential Moving Average, EMA)
指数平滑移動平均線 (Exponential Moving Average, EMA) は、単純移動平均線 (Simple Moving Average, SMA) や加重移動平均線 (Weighted Moving Average, WMA) の改良版です。EMA では、過去の価格データに対して指数的な加重平均をとります。このため、EMA は最新の価格データに対してより高い重みを付けられます。
EMA の計算式は以下の通りです:
EMA_today = (Price_today * k) + (EMA_yesterday * (1 – k))
ここで、Price_today は今日の価格、EMA_yesterday は昨日の EMA、k は指数係数を表します。
EMA を使ったトレードでは、単純移動平均線 (SMA) と同様に、株価などの価格データに対するトレンドを把握することができます。また、EMA は、比較的短い期間内においてもトレンドの変化を検知することができるため、SMA よりもより素早いトレンド判断ができる場合があります。
移動平均線を使用したトレード戦略
移動平均乖離率とは
移動平均乖離率(Moving Average Deviation Rate, MADR)は、株式や通貨などの投資対象物の価格変動と移動平均線との関係を測定する指標です。移動平均乖離率は、移動平均線と実際の価格がどれだけ乖離しているかを示す数値です。
移動平均乖離率は、トレンドの変化を見極めるために利用されます。価格が移動平均線から大きく乖離している場合、トレンドが強くなっていると判断されます。逆に、価格と移動平均線が近づいている場合、トレンドが弱まっていると考えられます。
移動平均乖離率は、投資家がトレンドの変化を把握するための有用なツールとして利用されますが、単一の指標ではなく、複数の指標や分析技術と組み合わせて使用することが望ましいです。
ゴールデンクロス
ゴールデンクロスとは、移動平均線に関するトレード技術の一つです。ゴールデンクロスとは、短期の移動平均線が長期の移動平均線を上回ることを指します。このような状況は、株価などの価格データが上昇トレンドに入っていることを示しています。
トレードにおいては、ゴールデンクロスが発生したときに買いポジションをとり、逆にデッドクロスが発生したときに売りポジションをとることが一般的です。
移動平均線を使ったトレードでは、ゴールデンクロスやデッドクロスのタイミングを決めるために、短期の移動平均線と長期の移動平均線を設定する必要があります。これらの期間は、トレーダーの投資スタイルやトレード目的に応じて設定することができます。
デッドクロス
デッドクロスとは、移動平均線に関するトレード技術の一つです。デッドクロスとは、短期の移動平均線が長期の移動平均線を下回ることを指します。このような状況は、株価などの価格データが下落トレンドに入っていることを示しています。
トレードにおいては、デッドクロスが発生したときに売りポジションをとり、逆にゴールデンクロスが発生したときに買いポジションをとることが一般的です。
移動平均線を使ったトレードでは、デッドクロスやゴールデンクロスのタイミングを決めるために、短期の移動平均線と長期の移動平均線を設定する必要があります。これらの期間は、トレーダーの投資スタイルやトレード目的に応じて設定することができます。
グランビルの法則
FXトレードにおいてのグランビルの法則とは、通貨の価格変動に関する経験則的な概念を指します。この法則は、通貨価格の変動が一定のパターンを繰り返しているという仮説を基に、トレードの戦略を構築するために使用されます。
グランビルの法則は、外国為替市場において通貨価格の上昇と下落を捉えることができるとされています。この法則に基づいて、トレーダーは特定のパターンを追跡することで、通貨の価格変動に対するトレードの機会を捉えます。
ただし、グランビルの法則は、すべてのトレーダーに対して正確な結果を保証するものではないことに注意が必要です。外国為替市場は、多様な要因によって変動するものであり、グランビルの法則を用いたトレードにはリスクも伴います。自身のリスク評価や分析力などに基づいて、トレードを行うことが重要です。
3本の移動平均線を使用するトレード戦略
3本の移動平均線を使用するトレード戦略は、ショートトレード、ミドルトレード、ロングトレードなどと呼ばれます。この戦略では、短期間、中期間、長期間の移動平均線を計算し、それらをチャートに表示します。
トレーダーは、それぞれの移動平均線の傾きなどをみて、トレードのエントリーとエグジットのタイミングを決定することができます。また、移動平均線の交差点や乖離率などの技術的指標も利用してトレードのタイミングを決定することができます。
移動平均線の選び方とは
移動平均線の組み合わせは悩ましいところです。FXを始めた当初はどの移動平均線がもっとも勝率が高いのか?と懸命にネットを検索したり、書籍に回答を求めたりしました。
しかし、これだと思う移動平均線の数値や組み合わせでトレードしてもうまくいかず、また新たな組み合わせを探すという状態が続きます。
そうした聖杯探しのような状況ではなかなか勝てません。なぜなら自分のトレードの軸が定まらないからです。
例え50EMA1本でも、自分のトレードの軸が決まると、すべきトレード、見送るべきトレードがわかってきます。
あとは、繰り返し、それを検証すればいいのです。しかし、トレードの波はそうした状況をはねのけるような波がしばしば訪れます。
そうした状況においても、愚直に自分のスタイルを崩さず、相場に対応することで柔軟な対応力を持つことができます。
まとめ
移動平均線は、株式や通貨などの投資対象物の価格変動を分析するためのツールとして利用されます。移動平均線には単純移動平均線、加重移動平均線、指数平滑移動平均線などがあります。移動平均線によるトレードにおいては、ゴールデンクロスやデッドクロスと呼ばれるパターンが注目されます。
ゴールデンクロスは、短期の移動平均線が長期の移動平均線を上回った点で発生し、買いのサインと考えられます。デッドクロスは、逆に短期の移動平均線が長期の移動平均線を下回った点で発生し、売りのサインと考えられます。
移動平均乖離率も移動平均線を使ったトレードにおいて重要な指標となります。移動平均乖離率は、移動平均線と実際の価格がどれだけ乖離しているかを示し、トレンドの変化を把握することができます。
移動平均線を使ったトレードにおいては、常に他の指標や分析技術と組み合わせて使用することが望ましいです。市場の様々な要因を考慮し、リスクマネジメントも重要となります。移動平均線を使ったトレードは、投資に関する知識と経験がある者に向けられています。