はじめに
FXのデイトレードはポジションを持った日に決済をして、翌日に持ち越さないトレードスタイルです。スイングや長期トレードと違って、毎日気持ちを切り替えてトレードします。
デイトレードは、長期トレードでマイナスを持ち続けた際に感じるストレスはありません。しかし、経済指標の発表や要人発言などで想定外の大きな波に飲み込まれることもあります。
本原稿はFXトレードにおいてデイトレードをこれから始める方に向けて、注意点やトレード手法について解説します。
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デイトレードは戦略と戦術の二段構えで考える
デイトレードで大切なのは長期的戦略と当日の戦略、それに基づくその日の戦術を設定することが重要です。それには波を捉えることが、重要となります。
FXのチャートにおける波とは、複数のローソク足で構成される一方的な価格の動きのことです。
上のチャートを見てください。白い線が大きな波で赤い線が小さな波です。大きな波で方向を確認して小さな波をエントリー用のトリガーにするのが定石です。小さな波に翻弄されては負け戦になってしまいます。では、まずは波の見方から説明します。
長期的な戦略とは波の全体像を把握しておくこと
長期的な視点を図るには日足を見ることが重要です。例えば、以下のチャートはドル円の日足です。数ヶ月間上昇トレンドにあります。長期的に見ると買いから入るのが妥当だと考えられます。これが大きな波の見方のひとつ。基本戦略としての波です。
下のチャートは同時期のユーロドルの日足のチャートです。こちらはドル円と違って下降トレンドです。目線としてはショートとなります。
下のチャートは日足のユーロポンドです。上でもなく下でもなく、まさにレンジ(持ち合い)の状態です。このような場合は、上限、下限を見て、動く方向を判断します。保合いの時はトレードが難しいのは、やはり方向感が定まらないからです。
先ほどのチャートで、ドル円は上昇だから買い目線で、ユーロドルは下落しているので売り目線が基本の大きな戦略といえます。しかし、日々上がったり、下がったりしているので、デイトレードでは、必ずしも一方向だけエントリーするとは限りません。
日足のトレンドが上昇だからといっても、それらは数ヶ月間という長い期間です。月単位、週単位での動きを把握することも重要です。その際に見る時間足は4時間足や1時間足です。
デイトレードの実践的な戦略は4時間足、1時間足でみる
波を見るのが戦略的な考え方です。下のチャートは4時間足と仮定します。1時間足でも同じです。
複数のローソク足の波によって天井から底値、またはその逆の波が形作られます。その波の頂、または底が強いレジスタンス、サポートになると考えます。上のチャートで、底付近には陰線だけでも9本あります。陽線を入れると15本です。
4時間足の場合だと60時間の攻防が続いている計算になります。1時間足でも15時間ですね。底のラインに当たったからといって、必ずしもすぐには上昇しません。トレードを始めた頃は、底や天井のレートになったら、そこから逆行すると思いがちです。
しかし、長い時間足で何度も止められているレートの場合はすぐに反転することがまれなのです。デイトレードでしているつもりが、そういうレートで捕まってしまうと場合によって日をまたぐことになります。このチャートの続きを見てみましょう。
上記のチャートでは、下に割り込んでから、高値をサポートにして再度上昇するフォーメーションになっています。このチャートの曲者は黒矢印の下落ですね。下の赤線を突破しているのでブレイクしたと思わせてV字で回復しています。大きな上昇の波となっています。
このときはブルとベアでどのような攻防が繰り広げられているのでしょう。高値圏からショートを持っている人は、利益確定で、買い戻す人がいるでしょう。ライン攻防でロングを入れた人は、逆行したので、売りを出すかもしれません。
人によってはラインをブレイクしたのでショートの飛び乗りをするケースもあるでしょう。
そうしたことで売り優勢になって、一時、ガクッと割り込みます。しかし実際はV字回復の上昇です。しかも高値を突破する強い上昇となっています。
上昇する前、下降する前には上のように逆方向にいくことが往々にしてあります。確かに突破した陰線一本分をとる目的なら1時間足、4時間足でも数十ピップス取ることが可能です。
しかし、これが15分足、5分足では少し利益が出たと思ったら、つかの間、上に持って行かれます。戦略的には底値、高値がレジスタンス、またはサポートになっている波を狙うのがセオリーとなります。
戦術的にチャートを5分足、15分足の波に落とし込む
さて、次は具体的なエントリーについて考察します。先ほどのチャートをさらに小さな足で見ます。
Aの位置では、赤線を割り込んで確定している足があります。しかし、最初に割り込んだ足がヒゲとなっていることからショートには躊躇します。スキャルピング気味のデイトレならAの位置でも構いませんが、とれるピップスは少なく見積もり、早めに手仕舞いします。
本格的にショートを入れるなら、赤のラインがレジスタンスになり、そこから下落をはじめたときです。一方、赤線をレジスタンスと見て、スキャルピング気味のトレードをするならBからのロングもありです。
しかし、この場合も赤線までのロング、もしくは建値決済くらいの気持ちでエントリーするのが大きく負けないコツです。
実際にエントリーするなら赤線がサポートされて、移動平均線も上に向き始めたCもしくはDがより安全です。
この場合の決済ポイントは、上限の赤ラインに到達したとき、または移動平均線を割り込んだときとします。
デイトレードで確認すべき時間足は
先ほどは、波について説明しました。次は1つの足にフォーカスしてみましょう。それは、週足や月足です。
1日でトレードを終了するデイトレードといっても、日足、週足、月足の確認は必要です。なぜならどのようなトレードでも大きな時間足に動きは、左右されるからです。
「デイトレードだから日足だけでいいのでは?」と思いがちですが、月足、週足の波の傾きだけでなく、一つの足のうち四本値(高値、安値、始値、終値)は多くのデイトレーダーが意識します。
また、月足、週足などの長期足の確定時を意識することはトレードの経験則として積み上がります。
例えば、月足の高値、安値付近ではトレードをしない、更新してからエントリーするなど基準づくりになります。
週足や月足はトレード戦略の方向性を示す
上のチャートは4時間足に月足を表示しています。月足の実体部分が赤で、高値と安値はブルーのフレームで表示しています。動きをみると月初で上昇したものの、始値を下回り陰線(赤の実態)になっています。
安値を付けてから上昇に転じましたが、月足の始値で何度も上昇を押さえられているのがわかります。
始値が抵抗線になっていることからこのレートを背景としたショート戦略、もしくは始値を上抜けしたら追随のロング戦略など、意識すべきレートが見えてきます。
4時間足を下位足に落とし込んだチャートの見方
では次に4時間足のヒゲの部分でどのような展開がなされているのか見てみましょう。下のチャートに4時間足のヒゲ部分を黄色のでマーキングします。
4時間足のチャートとしては下落中の下段持ち合いです。上昇反転するか、継続するか、さらに下に攻め込むかといった難しい局面です。
これを15分足で見たのが下のチャートです。
上の黄色い四角部分は4時間足の上ヒゲの部分です。何度も上下に動いていることがわかります。同様に下ヒゲ部分でも小さな上下の波が複数回形成されています。
5分足でも見てみましょう。
これを見ると上位足のヒゲの部分は下位足でレンジになっていることがわかります。必ずしもそうなるわけではありませんが、トレードをする際の目安にはなります。つまり、このボックスのブレイクがどちらかに動き出す、セットアップとなるのです。
4時間足のヒゲになったらその天地をひとつの基準としてエントリーすべき方向を考えます。これがデイトレードにおける戦略的な考えのひとつです。
FXデイトレードのエントリー方法と決済方法とは
この章ではFXのデイトレードにおける具体的なエントリーと決済方法をチャートで解説してゆきます。下のチャートはポンドドル1時間足で月曜日から金曜日までの1週間を表しています。
月曜日に週足レベルで前週の高値更新となりましたが、以降は下降トレンを形成しています。日足の波を見ると以下の通りです。
下落トレンドの反発から三角保ち合いへ移行している様子が見て取れます。
三角保ち合いのフォーメーションでは、保ち合いからのブレイクした方向へエントリーするのがセオリーとなります。
月曜日で窓が開いた状態のFXトレード
ポンドドル5分足で表現したある月曜日の値動きです。わかりにくいかもしれませんが、左下を見ると窓が開いています。窓は埋める方向に進むという考えがあります。しかし、窓埋めは当日とは限りません。窓の上限がサポートになりそのまま上昇することがあります。
チャートで設定知るのは20EMA(赤)と75EMA(青)です。アジア時間は横ばいでスタートしています。
エントリーの基本は、ボックスのブレイク、もしくはボックスの上限や下限です。上記チャートは、白矢印が昨日の高値です。点線の白いボックスはアジア時間序盤からの横ばいの値幅です。
この日のセットアップ(エントリーの基本理由)は、ボックスブレイク、もしくはボックスの上限、下限からの反転です。
オレンジ丸の部分でボックス下限からの反転が始まっています。窓の上限レートより切り上がっています。この時点でエントリーすることも可能ですが、これはデイトレというよりスキャルピングになります。
なぜならボックスの上限がレジスタンスになる可能性があるからです。10ピップス程度の狙いならエントリーもありですが、ボックスブレイクを見届けてからエントリーするのが常道です。
この日は最初のボックスを上方向へブレイクしてからもう一度最初のボックスに戻り、オレンジ丸の足のレートあたりでダブルボトム(最初のオレンジの矢印)を形成して上に伸びる展開になっています。
デイトレードレベルでは一旦ブレイクしてから、大きな戻りが突破足(レンジブレイクのきっかけになった足)まで来ることが往々にしてあります。
そういう相場では、5分足の20EAの移動平均線を決済基準にしていたなら何度も切らされることになります。上記チャートもニューヨーク時間に入る前に最初のボックスへ瞬間的に戻っています。
終わったチャートを見れば、入る時点を考えるのは難しくありません。しかし、現実のトレードではチャートの先が見えないので、予測するのではなく、エントリー、決済条件を決めてから望むのがデイトレードの鉄則となります。
東京オープンを基準にしたエントリーと決済の条件設定とは
エントリーと決済の方法はトレード前に決めなければなりません。そうしないとムダなトレードが増えるからです。運良く全てのトレードで勝てる日もあるかもしれませんが、結果的に負けが重なるものです。
エントリー手順は以下の通りです。
① 4時間足または、1時間足を基準として波を捉えたトレンドラインとボックスを作成します。
右上の5つ小さなボックスの緑、青、白、赤、黄色の値動きがまだわからないと仮定します。
チャートは、1時間足のポンドドルです。赤の太いラインがトレンドラインになります。薄い白い枠が、直近の波の上下を結んだボックスとなります。
②直近の高値と安値でボックスを作成します。
前日の終値と現時点での上限を結んでボックスを作成します。白い線は、窓の加減です。斜めの赤線は、1時間足のトレンドラインです。ボックスを設定した時間は東京中値の時間である午前10時の足が確定したときです。これで、セットアップの条件を視覚化します。
ボックスブレイク、もしくは上限か下限へのタッチをセットアップ完了とします。
東京時間では、9時のオープン時間、10時の中値時間で動きが加速することがよくあります。
エントリーのトリガーの設定について(アジア時間の動きについて)
エントリーのトリガーとは、セットアップができた後にエントリーをする条件です。
③トリガーの条件を設定する
トリガーの条件設定は、セットアップしたレート、またはその付近に再度戻ってきたときとします。レジスタンスやサポートを突破するときは何度か同じレートのブレイクを試します。最初に到達したレートは見過ごし、再度試した時を狙います。
見えにくいかもしれませんが、赤丸のローソク足は、ヒゲとなってボックスの上限を突破しています。ここでは、反転か上抜けを想定し、トリガーの準備をします。このトレードでは以下の条件を設定しています。
●トリガー例
・15分足で2本以上のヒゲが上限を突破して、終わり値が下限内
・15分足の実体がボックス上限で成立
ショートを投入した場合の決済ポイントは窓の上限、もしくは窓埋め、または三角保ち合いのラインの三つが考えられます。
ロングの場合は、ボックスの値幅の倍、もしくは3-4倍です。ただし、このプライスはアジア時間に限ります。
④トリガー発動
トリガー発動(エントリー)と同時にショートをエントリーしました。
エントリーと同時にすぐさま15分足1本分が陰線となりました。45分間過ぎた時点で、ローソク足が十字線となり、エントリーしたロットのうち半分を決済し、残りを建値としました。
半分決済したのは、エントリーした足が、安値をつけることなく止まってしまったからです。理由としては以下があげられます。
・安値更新にならない
・75EMAがサポートしている
・小さな波で上昇トレンドにも取れる
その後、横ばいの動きが15時ごろまで続きます。FXのデイトレードではアジア時間の動きを緩慢だと捉えて、16-17時ごろから参戦するトレーダーが少なくありません。
アジア時間の終盤まで小さな幅で動きます。こうした値幅の場合、スキャルピングが有効です。ただし、デイトレードでショートポジションを持っているとロングがしにくいものです。目線が固定されているからです。ボックスの上限での動きですので、建値決済、ロングへのドテンも視野に入れる必要があります。
欧州時間のエントリーと決済
ローク足に変化が見られたのは16時前です。欧州のトレーダーが参戦する時間帯です。75EMAと20EMAが重なり、収束しています。小さくなった値幅から大きく動く前触れと考えます。
16時30分頃に下落したのですが、下に抜けることなく上に向かいました。残念ながら微益撤退です。ボックス上限を突破したので、押し目買いの戦略をとります。
エントリー条件はボックス上限近くの押し目狙いです。
ボックスの上限まで押してきました。20EMAと75EMAの差が出始めているので値動きが加速することが想定されます。
エントリーポイントは、ボックス上限に到達して陽線を確定させた次の足となります。
ニューヨーク時間のエントリーと決済
最初のボックスを上抜けしてから激しく上下に動きます。時間足の波で引いた三角持ち合いのラインも上にきています。押し目ひろいのロングをしてから再度最初のボックスの上限をサポートにする値動きがみられました。この動きの中でロングエントリーをしたのは、オレンジの上むき矢印のレートです。
時間帯は22時45分頃で、ニューヨークのトレーダーが活発に動き出す時間帯です。ニューヨークの時間帯は欧州時間のトレンドを引き継ぐ場合と、それまでとは違った動きを見せる場合があります。その点を注意してトレードします。
オレンジの矢印をロングのトリガーとした条件は以下の通りです。
①セットアップとして、最初のボックスを上抜けし2度目の押し目になっていること
②移動平均線が二つとも上むきになり、拡散がみられること
陽線の確定をトリガーとしてロングを発動しました。逆指値は15分足の小さな波における直近の安値です。
利確目標は、今回は2段階にしています。まず、最初のボックスの倍の値幅です。そのレートは丁度、1時間足の三角保ち合いの上限となっています。
次の決済レートはさらにそこからボックスを積み上げた上限です。三角保ち合いのラインをブレイクしたらその方向に進みますが、15分足レベルで確認すると押し戻されることがあるからです。
まとめ
FXのデイトレードのエントリーと決済について説明しました。
エントリーは、セットアップとトリガーの二段構えとします。
エントリーでは、基準となるボックス(値幅)を設定して、そのブレイクなどを基準にします。
決済はボックス値幅で倍以上の動きがあったとき、または時間足で書いたトレンドラインへの到達とします。逆指値は小さな波の直近の安値とします。
東京、欧州、ニューヨークでは、動きが変わるので十分に注意しなければななりません。