はじめに
本原稿は、これからFXを始める方、または初心者の方が知っておくべき内容に関して通貨ペアとリスク管理についてまとめました。もっとも基本的かつ重要なことですので理解しましょう。
FXトレードの通貨ペアとは
通貨ペアとは二つの通貨の取引金額を表す
FXトレードでは各国の通貨ペアごとにトレードを行います。通貨ペアは、二つの通貨の取引状況を表しています。
例えば、ドル円の価格は、ドルと円を交換するときの1ドルあたりの円の価格です。ドル円が上昇するといえば、日本人なら円が高くなるイメージを持ちがちですが、実際には円が安くなっている状況となります。
例えば、ドル円が100円というのは、1ドルと交換するのに100円が必要だという意味です。ドル円が300円なら1ドルと交換するのに300円必要ですからドル円が100円のときと比べると円が安くなっていることがわかります。
円高とは逆の状態です。ドル円が50円というのは1ドルが50円で買える状態です。100円で2ドルが買えますから円が高くなり、円高といわれます。
報道でドル円が上昇といわれれば、ドル高円安の状況で、ドル円が下落といえば、ドル安円高です。しかし、ニュースなどで「円が買われ」と報じられたときはドル円のことではなく、単純に円高になっていることを意味します。
通貨ペアの読み方は二つの通貨のまま読む
各通貨には独自の呼び名があります。例えばUSDJPYでは米ドル円となり、EURUSDではユーロ米ドルというように、各通貨ごとに呼び名があります。
- USDJPY:ドル円
- GBPUSD:ポンドドル
- EURUSD:ユーロドル
- EURGBP:ユーロポンド
- AUDUSD:オージードル(豪ドル)
- NZDUSD:ニュージードル
- USDCAD:ドルカナダ
他にもさまざまな通貨ペアがあります。
円に関係するクロス円の通貨とは
FXトレードでは、基本的にUSドル(米ドル)を中心として各通貨の取引単位が決められています。
例えば、GBPJPY;ポンド円の場合は、直接的なポンドと円の関係ではありません。ポンドと米ドル、米ドルと日本円を掛け合わせて(クロスさせて)人工的に作られた為替レートになっています。
例:GBPJPYの計算式
GBPJPY 240
USDJPY 120
GBPUSD 2.0
この場合のGBPJPYの算出方法は、GBPJPY =GBP/USD×USD/JPY=240です。FX初心者の方は、最初は難しく考えてしまうかも知れませんが、慣れてしまえば簡単な計算式になります。
もっとも自分で計算をしなくてもFX会社の取引画面を確認すれば、各通貨の為替レートはすぐに分かります。
FXトレードではUSDJPYを介して交換が行われているEURJPY(ユーロ円)やAUDJPY(豪ドル円)、GBPJPY(ポンド円)、CADJPY(カナダ円)などの通貨ペアをクロス円といいます。
USDJPYやEURUSD、EURCHF、EURGBPなどの通貨ペアは、クロスしていなことからストレートと呼び、米ドルが絡んだ通貨ペアの事をドルストレートといいます。
例えば、USDJPYやEURUSD、GBPUSDなど、USDが入っている通貨ペアです。
通貨にはメジャーとマイナーがある
通貨は、ドル、円、ユーロドル、ポンドなど、外国為替市場で取引量が多く、流動性が高い通貨をメジャー通貨といい、逆に取引量が少なかったり、流動生が低い通貨をマイナー通貨といいます。ランド円やトルコリラ円などです。
メジャー通貨は米ドル、ユーロ、日本円、ポンド、オーストラリアドル、カナダドル、スイスフランなどです。ちなみにメジャーどころの通貨ペアでは、GBPJPYはポンド円、AUDJPYは豪ドル円、NZDJPYはNZドル円、CADJPYはカナダ円、CHFJPYはスイスフラン円といいます。
FX取引とは通貨ペアの売り買い
通貨ペアはそれぞれ動きの幅が違う
通貨ペアには特有の動きがあり、各通貨ペアのクセは経験を積むことである程度理解が進みます。初心者の頃は、ドル円がダメだから、豪ドル円、ユーロ円など、いろいろ試したくなりがちです。
しかし、最初から多くの通貨ペアを選ぶのではなく、FX初心者のうちは、通貨ペアを絞り込んでトレードすることをおすすめします。
通貨のクセとか書きましたが、通貨ペアの動きの基本はランダムなので、クセというより傾向というべきものかもしれません。
例えば、ポンドは動きが他の通貨と比べて動きが激しい、ランドは他の通貨に比べて動きが緩やかな認識です。現実的には、各通貨の流通量や市場の参加者などによって変わるので、こうした傾向は、いつでも同じではありません。
通貨の動きはボラティリティと表現されます。ボラが大きいとは、ボラティリティが大きいことを表しており、大きな値幅で取引がされている状況を指します。
FX取引のリスク管理は最重要
FX取引では、レバレッジを上げて取引枚数も増やすことで、トレードに成功すれば、より多くの為替差益が得られます。俗にいえば多く稼げるということです。逆もまた然りで、レバレッジが高く取引枚数も多ければ、トレードに失敗すると損失も大きくなるなります。
当然、レバレッジを限りなく低くして、例えば、取引枚数を1枚(1万通貨)で行えば一度で為替差益を大きく得るのは難しくなりますが、負けた場合でも損失を少なく抑えられます。
FX取引では、リスクを負えばその分リターンが増える可能性もあり、またリスクを抑えればリターンも少なくなるという表裏一体の関係になっています。
個人の思惑でハイリスク・ハイリターンにもなるし、ローリスク・ローリターンにもなるのがFX取引です。
しかし、ハイリスクの場合もローリスクの場合も、リスク管理を行わないと想像以上に損失が膨らむので、FX取引ではリスク管理がとても重要だといえます。
FX取引の基本的なリスク管理とは
FX取引のリスク管理は、資金管理の他、相場の変動に対するリスクが重要です。FXトレードの世界、為替相場は土日やクリスマス、元日をのぞいて、ほぼ24時間動いています。時として想像を超えるような大きな動きをします。
そんな時に、何もしないで為替チャートを眺めている=放置しているとみるみるうちに損失が膨らみ、資金をなくしてしまい相場から退場させられることもあります。
だから、為替相場の急変にも対応できるリスク管理が重要になってくるのです。
ストップロス・逆指値注文を入れる
相場の変動に対するリスク管理で、もっとも重要ともいえる方法は、一定の損失がでたときに、自動的に決済するストップロス注文(逆指値)です。なぜなら、為替相場に急変があった場合、ストップロス注文を入れなければ損失がどんどん大きくなる可能性があるからです。
ストップロス注文は為替相場の急変に備えるだけでなく、損失を限定するための注文なので、ポジションを持つと同時に入れるのが基本です。
利益確定の指値注文もリスク管理
損失を増やさないためのストップロスと同様に重要なのが利益確定注文です。これは意外と見落とされがちですが、FXトレードは、計画が重要ですので、目標となる金額に達したら、自動的に決済する注文を入れておくのがベター。特に日中為替相場の動きが見れない方は決済注文を入れておけば、そこから逆行して利益が減ることを防げます(もちろん、放置することでさらに利益が増える場合もあります)。
決済注文を入れておかないと利益どころか、マイナスになり、急落した場合など、ストップロス注文で決済されることもあります。
日中、為替相場の動きを見ることができずに、夜自宅に帰って為替チャートを見たら利益確定ポイントに到達していたのに、その後反転して損切りになっていても相場はお金を返してくれませんFXトレードでは、エントリーしたらストップロス注文と利益確定注文の二つを同時にいれることをおすすめします。
FXトレードでは自己資金の損失を考える
現在、国内のFXトレードでは、個人がFXトレードを行う場合には最大レバレッジが25倍に制限されています。かつてのレバレッジ100倍や200倍と比べればはるかにリスクは低くなっていますが、レバレッジ25倍でも大きな損失になることもありえます。
FXトレードでは少ない資金でもレバレッジで多額の取引ができ、大きな利益を得られることが魅力のひとつです。
それは、レバレッジというFX最大の武器を自己資金に対して正しく設定できる場合の話であり、レバレッジの使い方を誤っているといずれは破綻の憂き目をみます。
特にFXトレードが初めてなら、いきなりレバレッジ25倍で取引をするのは避けるべきです。
FXトレードは損失許容量を計算する
FXトレードで最重要なことが、自分の損失許容金額です。これは、自己資金に対して最大の損失金額を決めることです。この損失許容金額を理解していれば、為替レートが反対方向に動いても許容範囲が生まれます。損失をコストと考えることができるからです。逆指値に達しても損失許容量の範囲内なので、次のトレードにもチャレンジできます。損失許容量は、一般的には資金の2%〜3%程度といわれています。自己資金が100万円なら2万円、10万円なら2,000円です。
損失許容量を決めていなければ、トレードの基準がわからず、利益も損失も勝手きままになってしまします。精神的に安定していないでしょうから少しの下落でも焦ってしまい不本意なトレードで利益を逃してしまうかもしれません。
為替レートは当然ですが、一直線に上昇や下落するものではありません。途中に調整(持ち合い、レンジ)を挟みながら上昇や下落を繰り返します。この途中の動きに一喜一憂するトレードをすると、買ったはいいが損切り、売ったはいいが損切りなど、いわゆる往復ビンタといわれるトレードになってしまいます。
トレードは、必ず損失許容量を把握したうえで焦らずに行いましょう。